株式会社デジタル・フロンティア-Digital Frontier

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CG MAKING

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biohazard DEGENERATION

2008年10月劇場公開作品【CG制作】

INTRODUCTION

世界的な人気ゲーム「バイオハザード」シリーズ。96年3月に発売されて以来、多くのタイトルが発売されてきた。その累計販売数は4,100万本に及ぶ。もともと、「映画的な画面作り」を目指して作られた同作品は、その後02年に実写映画として公開され全世界で1.02億ドルのヒットを記録する。そして、08年。満を持してフル3DCGによる映画化が実現した。東京、名古屋、大阪での限定上映は超満員。その後2008年12月26日発売のDVDは発売2ヵ月後に全世界で150万本以上の出荷を記録。ゲームの世界観をそのままに、新たなストーリーをひっさげてファンを楽しませてくれたこの作品は、世界中のファンに迎え入れられた。同映画の3DCG制作を担当したデジタル・フロンティアは、これまでにも数多くのフルデジタルアニメによる映画を手掛けており、日本を代表するCGプロダクションの一つといえる。世界のゲーマーからの圧倒的な支持を得ているゲームの映画化で、デジタル・フロンティアがどのようなチャレンジをしたのか、その深奥に迫る。 (映像新聞 小林直樹)

制作の経緯、作品のねらい、テーマ

映画化までの経緯

Q.

「バイオハザード」は、世界的な人気ゲームであり、また、すでに実写映画も大ヒットしていますね。そうした中で、CGアニメの作品として映画化するに至ったのは、どのような経緯からだったのでしょうか。

A.

この映画の企画は、実写版を配給しているソニー・ピクチャーズエンタテインメントさん(以下SPEさん)が、今度はフルCG作品を制作するべく、カプコンさんへ共同制作のオファーをしたことで始まったものなのです。 2006年秋にこの2社での企画がスタートし、2007年1月に神谷誠監督、脚本の菅正太郎氏とデジタル・フロンティアが加わって、実際の制作が開始されました。

世界的な人気ゲーム作品の映画化

Q.

デジタル・フロンティアは、すでに、ゲーム版のムービー制作でバイオハザードの制作に携わっていらっしゃいます。オリジナルで作品をつくる場合と比べて、いかがでしたか。

A.

総じていえば作るのに苦労した点が多かったですね。確かにゲームの中の映像としてはこれまでも携わっていますが、映像のみのストーリー作品として、劇場映画の大スクリーンに映し出すことが可能かどうかなど、作品のテイストを生かしながらどこまで作り込めるか、そのバランスに気を遣いました。そういう意味で、我々にとって初めての試みであったといえます。

Q.

ゲームの世界観やキャラクターのイメージなどは、ゲームと深く関わっていると思いますが、映画化に際して、シナリオやキャラクターの演技などについて、カプコンさんからの要求はなかったのでしょうか。

A.

今回の映画については、カプコンの小林プロデューサー(バイオハザード4等のゲームプロデューサー)からの「バイオハザード4」のレオンのその後を描いたアウトラインをベースに、神谷監督と菅氏が加わりプロットから脚本へと本作りが始められました。クレアについては「バイオハザード2」がシリーズ最大の売上を叩き出していたこともあり、SPEさんからのリクエストで登場させることになりました。時系列的に本作がゲーム「バイオハザード4」と「バイオハザード5」の真ん中に位置することになった次第です。ゲームでの知名度は、やはり大きいものがありますね。映画はあくまでもオリジナルという思いもありますが、多くのファンがゲームのイメージを大事に持っていることを考えると、そのイメージをベースにオリジナルを作り上げていくことが重要であると思いました。

Q.

まるで、テレビ番組から人気俳優をキャスティングしているかのようですね。

A.

そうですね。ある意味では、世界的な人気俳優ともいえる主人公のイメージがぶれないようにするという気遣いが必要となり、これには神経を使いました。すでに定着しているイメージを崩さないために、キャラクターによっては表情や演技なども一定の制約の範囲を意識して制作した部分もあります。そうしたキャラクターと、リアルに描いた脇役とのからみのシーンではそれぞれの見え方や演技の違いが不自然にならないように苦労しました。 ただ、一部のキャラクターを除いては、キャラクターの表現についての細かい指導はありませんでした。たとえば、『バイオハザード2』に登場するクレア・レッドフィールドについては、衣服などに「赤」を使うということと、髪型をポニーテールにするという、2つの決まりがあっただけです。