株式会社デジタル・フロンティア-Digital Frontier

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CG MAKING

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biohazard DEGENERATION

2008年10月劇場公開作品【CG制作】

CG映像制作のポイント

キャラクターの質感表現

Q.

実際に質感表現で使用された技法はどのようなものだったでしょうか。表情のアップのシーンでは、皮膚の透明感などが良く出ていると思いました。こうした部分ではサブ・サーフェス・スキャタリングなど複雑なレンダリングを施しているのでしょうか。

A.

今回のプロジェクトでは全てのキャラクターをサブ・サーフェス・スキャタリングで質感付けしてあります。皮膚の透明感などはそれによるものです。今回のテーマがリアリティのあるキャラクターだったので、細部にまでこだわったモデリング、テクスチャーを作成しました。また、Zbrushを使用し、毛穴や皮膚の表現にも気をつけました。また、3Dスキャンで撮影した高精細モデルをリファレンスにして衣装などを制作した為、今までよりもリアリティのあるキャラクターが作れたと思います。

Q.

今後さらにリアルなCGアニメーションを追究する中で、質感表現において新たに試みたいことなどはありますでしょうか。

A.

質感に関しては、レンダラーやライティングに依存してしまう点が多い為、やはり新しいライティング法やレンダラーを積極的に取り入れることでしょうか。SIGGRAPHなど、学会で次々と新たな研究成果が発表されていますので、そうした技術も取り入れていきたいと思っています。

システム開発/ワークフロー

Q.

制作工程において、内部のクリエイターと外部のプロダクションの比率はどのぐらいだったのでしょうか。また、外部へはどのような作業を委託されたのでしょうか。

A.

基本的にすべて内部でまかなっています。外部にお願いした作業としては、主に素材を作るためのレンダリング作業です。もちろん社内でもレンダリングをしていますが、フルCGムービーのレンダリング量は膨大になるため、今回は一部を外部にお願いしています。

Q.

外部委託についての品質管理という面ではどのようなご苦労をされたでしょうか。

A.

外部委託をする上で一番難しい事は、コミュニケーションだと思います。ちょっとした誤解が大変なトラブルの種になってしまう事がよくあります。今回は、作業する人が迷わないように作業内容をボタンを押すだけで行えるようなツールを作成し、それを用いてもらう事で作業の効率化を図りました。それと、品質に関しては細かい所までしっかりとチェックし、分かり易い表現でのリテイクを出すように気をつけました。それでも、日常の作業形態が異なる他のプロダクションとの仕事なので、こちらが予想しないような失敗もありましたが、コミュニケーションを密にして乗り越えました。

Q.

1300カットもの大作をフル3DCGで作られたということは、おそらく膨大なデータを管理するご苦労があったと思います。バージョン管理も含めたデータの管理はどのように行われたのでしょうか。 たとえば、独自の管理ツールを構築されたのでしょうか。また、ウェブブラウザーでの情報共有などもされたのでしょうか。

A.

今回のプロジェクトのために自社開発した『タコ助』『イカ野郎』というツールがあります。各パートで作業しているモデリングデータやアニメーションデータ等をシーン作成するデザイナーの所に集約するためのシーン構築を自動でおこなうツールが『タコ助』。このまとまったシーンファイルをもとに、各チームでフェイシャルアニメーションやクロス・ダイナミクス等のシミュレーション作業をし、再度それらの作業結果をシーンファイルにかき集めて、自動でプレイブラスト(確認用のレンダリング画像)を作成の後、レンダリングできるシーンファイルを自動構築するツールが『イカ野郎』。名前は変わっていますが、いろんなところからデータを引っ張ってくるという意味で、足がいっぱいだからつけたということらしいです(笑)。一言でいえばアセットマネージメントソフトを社内開発したということです。

Q.

ワークフローの面で、今後新たに挑戦されたいこと、あるいはクリエイターからの要望で実現を検討していることなどがありましたら教えていただけますでしょうか。

A.

アーティストの力を必要としないような単純作業は徹底的に自動化を推し進め、アーティストはクリエイティブな部分にだけ時間をかけられるようなパイプラインを構築していっています。