株式会社デジタル・フロンティア-Digital Frontier

Header

Main

CG MAKING

一覧に戻る

biohazard DEGENERATION

2008年10月劇場公開作品【CG制作】

CG映像制作のポイント

モーションキャプチャー/フェイシャルキャプチャー

キャラクターのアニメーション制作には、全面的にモーションキャプチャーとフェイシャルキャプチャーを活用している。これは、デジタル・フロンティアが自社で装備している巨大なモーションキャプチャースタジオを駆使している。光学式モーションキャプチャーシステムVICONのカメラを60台装備している。これだけの設備を持っているプロダクションは、世界でも数少ない。同社では、これまでにも、このモーションキャプチャースタジオで収録したデータを用いて、「アップルシード」や「エクスマキナ」などを手掛けている。そうしたデジタル・フロンティアの技術力が今回のバイオハザードには注ぎ込まれている。

Q.

舞台が米国であるということもあり、登場人物には欧米人が多いですね。彼らの骨格は、東洋人とは異なりますし、細かい仕草やジェスチャーということになれば、彼ら特有のものがあると思いますが、役者(アクター)はどのようにして起用されたのでしょうか。

A.

ハリウッドの現役俳優から7人をオーディションで選び、日本に招いてモーションキャプチャーをしました。10日間の滞在期間に2つのスタジオ(体と顔それぞれの専用スタジオ)を使用しています。これには、予算の関係だけでなく、クリスマスシーズンに入る前に彼らを帰国させてあげようということもありました。まずは体の演技を先にとりこみ、合間を見ながら、体の演技をモニターしながら、表情を取り込みました。

Q.

表情を撮るとき、セリフも話すと思うのですが、その際に音声を録音したのでしょうか。

A.

セリフは、キャラクターの動きに合わせてアフレコで収録しています。アフレコは、主に米ロサンゼルスのスタジオで実施しており、モーションキャプチャーの俳優と声優は別の人物です。中でも、2人のキャラクター、クレア・レッドフィールドとレオン・S・ケネディはゲームと同じ声優(クレア役=アリソン・コート、レオン役=ポール・メルスィエ)を起用しました。クレア役の声優さんは、カナダのスタジオでアフレコをとりました。スケジュールの都合でカナダとロスのスタジオをオンラインで結んで収録をしました。

Q.

今回の映画では、英語版と日本語版の両方がありますが、セリフによってはタイミングが異なることもあったのではないかと思います。もともとのモーションにあわせたセリフは英語だったのでしょうか。日本語だったのでしょうか。

A.

モーションキャプチャーの動きはすべて英語のタイミングをもとにしています。そうして作成した動きに、日本語のセリフを合わせています。ハリウッドの俳優の方たちはみなさんネイティブなので、英語のセリフは正確なのですが、その分どうしても、こちらが想定したセリフの長さとズレが生じてしまうということがありました。そのため、セリフに合わせてCGの尺を調整しなくてはならないということになったのですが、それでは大変手間がかかるので、映像を見てセリフを入れることで声優さんに調整してもらうという方法を採ることにしました。ごく一部ですが、意味が変わらない程度にセリフを変更したりしています。

キャラクターのアニメーションについて

Q.

研究所の爆発シーンでクレアたちが水の中に飛び込むシーンがありますが、ここの演技のモーションキャプチャーは、実際にスタジオではどのようにしたのでしょうか。

A.

モーションキャプチャーは通常のスタジオで行い、モデルには、立った姿勢のままで、水の中をかいているように演技をしてもらいました。あとは、モーションを手で修正していきました。

Q.

冒頭のシーンでの空港内でのデモなど、大勢が登場する場面でも、人の動きがとてもリアルな感じを受けましたが、すべてモーションキャプチャーを用いられたのでしょうか。群衆アニメーションのツールなどを用いられたのでしょうか。

A.

デモの群集の一人一人が、全てキャプチャーデータで撮影したデータを使ったアニメーションです。群集をグループごとと単体用とで分けて撮影して、群集のデータに、単体のデータを配置していくことで、全体の見え方を調整しました。

Q.

モーションキャプチャーでのキャラクターアニメーション制作工程での今後の課題、改善点などはありますでしょうか。

A.

今回は、顔の表情を撮るフェイシャルキャプチャーと、体の動きを撮るボディキャプチャーを分けて収録しましたが、次回は同時に収録ができるといいですね。

シェーディング/レンダリング

ゲームの場合と比べた大きな違いは、映像を表示するときのサイズだ。ゲームの場合、パソコンモニターやせいぜい大型のテレビ画面だが、劇場用映画となれば、200インチを超えるスクリーンに投影されることになる。テレビ画面では小さい俳優も、大型スクリーンでは大きく見せることができるため、全体の構図もスケールの大きい風景を作りやすい。しかしそうなれば当然、画面の解像度や映像自体のスケールがはっきりと映し出されることになるため、より高い解像度や絵の細部の作り込みなどが必要になってくる。

Q.

劇場映画を想定した場合、ゲームと比べてスケール感を出す必要があったと思いますが、実際の絵作りの面でそうした苦労はされましたか。例えば、空港や研究所の構造物には、大変大きなものでしたが、レンダリングは大変だったのではないでしょうか。

A.

スケールは相当意識して作りました。しかし、監督からはまだスケール感が足らないといわれました。キャラクターの演技が見える範囲を想定していたのですが、もっとスケールを出しても良かったかもしれません。

Q.

空港のイメージがとてもリアルだったと思うのですが、なにか実際の空港をモデルにされているのでしょうか。

A.

当初はアメリカ中西部の国内線の地方空港というイメージで進めたのですが、監督は、人気テレビ番組「24」のある回に出てきた空港のイメージがあり、実際に米国の空港へ行き、ロケーションハンティングを敢行しています。ただ、時代設定として、2005年の出来事であり、ストーリーの関係で米国中西部で人口10万人の工業都市のある町という設定なので、そうした時代考証をもとに、車や飛行機、建物などのデザインを行っています。また、車や飛行機は著作権の関 係もあり、すべてオリジナルでデザインしています。同様に、拳銃もオリジナルでモデリングしています。時代考証という面でデザインを当時の雰囲気にしながら、オリジナルをつくるという苦労をしました。