CG MAKING
2009年8月劇場公開作品【CG制作】
映画「サマーウォーズ」CGメイキング
~アニメ映画におけるCG合成と今後のフルCG映画について~
細田監督が語るCG映画とは
2009年11月13日、東京・豊島区の日大芸術学部江古田校舎で、映画「サマーウォーズ」の講演会が開催された。会場は満席。映画「サマーウォーズ」の関係者:監督 細田守、CGプロデューサー 豊嶋勇作、CGディレクター 堀部亮の3人が登壇した。
「サマーウォーズ 概要」
2009年8月1日に全国公開したアニメーション映画。約1ヶ月で導入数100万人以上を記録し、大ヒットとなった。2010年3月、DVD発売に続き、5ヵ月後には日本テレビ系金曜ロードショーで初の地上波放送がされた。セル画アニメと3DCGが互いの良さを引き出していることや現代日本に残る古い生活とインターネット上にある架空世界が舞台になっていることなどが注目された作品。
制作の経緯
私とデジタル・フロティアさんとのつきあいは、10年になりますね。2000年に、サンリオ・ピューロランドで上映した立体映像作品『デジモンアドベンチャー3D デジモングランプリ!』のプロジェクトでいっしょに仕事をしたのがきっかけです。そこから、アニメーションのCG利用あるいは、フルCGによる映画というものに関心を持ち始めていました。その後DFは、テレビアニメのCGから、劇場映画のフルCGまで、たくさん制作されるようになって、日本でも有数の技術力をお持ちなので、またいつか一緒にやってみたいと思っていたんです。
2Dアニメと3DCGの融合
サマーウォーズのCGパートは、仮想世界 オズにおける背景・群衆・アバター、そして巨大ラブマシン。あと、現実世界のパソコンの画面などもCGで作成しています。尺は全部で30分ぐらいです。まず絵コンテをつくり、レイアウト・デザインのあと、モデリングと質感設定をします。次に、レイアウト・モーション設定をして、絵コンテをもとにキャラの配置をします。
作品のポイント
細田さんは、堀部君にどのような注文をされたのですか。
そういう細田監督の注文を受けて、堀部君はどのような点を注意したの?
OZの本棚を制作する際には、「一般の女の子にも受け入れられる作品に」というねらいがあったので、「オシャレ感」を出したくて、オフィスの近くにある代官山のショップでロケハンをしました。ブティックや雑貨屋さんの棚の配置などを調査したり、看板のデザインなども参考にしています。
大量のアバター
これだけのディテールを良く作ってくれたと思いますよ。仮想都市には、10億人が参加していることになっているので、それを表すためにたくさんのバリエーションが必要だったんですね。
これは、デジタル・フロンティアの120人のクリエイターに300体以上のアバターを作らせているんです。動きも手づけでそれぞれのクリエイターが作っています。
おかげで、個性的でデザインのおもしろい多様なアバターが生み出され、たくさんの人が集う仮想都市の雰囲気が出てますよねー。最初の1-2秒ぐらいのところや、背景でつぶれて見えないようなところにも、すんごい情報が詰まっているよね。
見る人に楽なように、シンプルに見せながらも、実際にディテールが集中するところは情報量を多くしていますね。例えば、メインの塔にある本棚などは、ものすごく細かく作り込まれていて、一個一個作っているということを考えると、私でさえ気が遠くなりますね。
大量のアバターを駆使するところではあと、巨大キャラクターのラブマシンがありますね。これは、4億ものアバターが群れとなって集結し、巨大な人型のキャラクターになるという設定なんですが、パーティクルを使って群れがうごめく感じを出しています。いろいろな試行錯誤をして、スケール感も出ていると思います。
豊嶋
そもそも、デジタル・フロンティアとして、サマーウォーズをやることになったきっかけは、細田監督から、声をかけていただいたわけですが、細田さん、まずは、そのあたりのねらいについて、お話していただけますか。